舎爺
しゃや
名詞
標準
文例 · 用例
ヘルメルトは赭ら顔で眼をしょぼしょぼさせた何となく田舎爺のような感じのする、しかしどこかなかなか喰えないような気のする先生であったが、しかしやはり一とかどのえらい学者のように思われた。
— 寺田寅彦 『ベルリン大学(1909-1910)』 青空文庫
十字軍や一九一四年の欧洲大戦のごときは世界人類の歴史の橋の袂であり、ポール・セザンヌと名づけられた一人の田舎爺は世界の美術史の上の橋の袂である。
— 寺田寅彦 『さまよえるユダヤ人の手記より』 青空文庫
田舎爺の加持のお水を頂いて飲んでいるところだの、蝋燭のあがった多くの大師の像のある処の前に彳んでみたりした。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
俺は田舎爺ぢやが、かう見えてもお前に比べるとずつと先輩なんぢやからの」「それぢや、かうすればいいんですか」 私は笑ひ笑ひ膝を前にのり出しました。
— 薄田泣菫 『中宮寺の春』 青空文庫
もし手近にいる醜い女や、うるさい田舎爺を愛することができないならば、その人の叫ぶ人類的愛は空しいものである。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫
この田舎爺然としている男は田沼と云う刑事で、柔道三段と云う署内切っての強の者で、今日は特に選抜されて出て来たので、スワと云えば直ぐ飛び出して腕力を奮おうと云うのである。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
田舎爺も気の毒がりて猶その男の名前まで、根ほり葉ほり尋ねるので今更隠しにくゝなりまして、伊之助のことを明かす。
— 三遊亭圓朝 『根岸お行の松 因果塚の由来』 青空文庫
田舎爺は老の一徹にカッと怒り、 爺「わりゃア勘太だな、まだ身持が直らず他人様に御迷惑をかけアがるか、お女中さん何も怖ねえことアごぜいましねえ、この悪たれは私が餓鬼」 といううちに早や言葉が潤んで参ります。
— 三遊亭圓朝 『根岸お行の松 因果塚の由来』 青空文庫