真向かい
まむかい
名詞名詞-の形容詞
標準
right opposite
文例 · 用例
あちらの角だから、遠く三四郎と真向かいになる。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
川をはさんでうちのお寺とにらめっこをしている右側の、あの高いお屋根がご本堂でござります」 いかさま、ちょうどその真向かいの、松平|越前侯お下屋敷とおぼしきひと構えのこちらに、さながら何かの因縁ごとででもあるかのごとく、黙々として屋根の背中を光らせながらそびえ立っている堂宇が見えるのです。
— 開運女人地蔵 『右門捕物帖』 青空文庫
細工は粒々、右門様の眼力のすごいところと、捕物さばきのあざやかなところをゆっくり見せてやるから、急がずについておいでよ」 軽く言い捨てながら、ふたたび舟に帰っていったと見えましたが、まもなく船頭に命じてこがせていったところは、なぞの白壁屋敷とはちょうど真向かいになる反対側の岸でした。
— 足のある幽霊 『右門捕物帖』 青空文庫
「わたしにはどこにもそんな苦力は見えませんわ」 彼女がこう言った刹那、その馬は荷を積んだ驢馬を避けようとしたはずみに、ちょうどこっちへ進行して来た人力車と真向かいになった。
— 幻の人力車 『世界怪談名作集』 青空文庫
ちょっとの間はどこで泣いているのか判らなかったが、それは、彼の真向かいのベッドだった。
— 北條民雄 『いのちの初夜』 青空文庫
そうして不二男さんが爺やに何か言いつけながらその別荘のまわりを一まわりしている間、私達は若葉の歯朶で縁どられたヴェランダに腰を下ろして、真向かいのわが家の方を見やっていた。
— 堀辰雄 『朴の咲く頃』 青空文庫
「真向かいに見える雑木山、あの中腹に洞の国が、出来ているのでございます」 指を指しながら水泡が云った。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
それで今度は、ドルス夫人になわとびおどりをお願いしてもらいましょうか」 カピはまた主人のかくしを探って一本のつなを出し、軽くゼルビノに合図をすると、ゼルビノはすぐにかれの真向かいに座をしめた。
— SANS FAMILLE 『家なき子』 青空文庫