裏っ側
うらっかわ
名詞
標準
文例 · 用例
原っぱの果のそういう二階家の一つで、何のはずみか表から裏まで開けっ放しになったりしていると、黒い四角い生活の切り穴のようなそこから樹の一本もない裏っ側の空までが素どおしに見えて、そこにある空虚の感が眺める人の心に沁みこんだ。
— 宮本百合子 『朝の風』 青空文庫
――桜餅やの裏っ側に二三本咲き残ったコスモスも、その下にすくんだ鶏のかげも、柳北の碑の鼻の欠けた柳北の顔も、すべて惨めな、空しい、霜に荒れたそのあたりのけしきだった。
— 久保田万太郎 『春泥』 青空文庫