惶
惶
名詞
標準
文例 · 用例
良心に逐われて恐惶せる盗人は、発覚を予防すべき用意に遑あらざりき。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
」G氏は創造する金魚につけるはずのこの名を呼びながら、乞食のような服装をして蒼惶として去った。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
校長は喫驚りして「お梅さんどうかしたのですか」と驚惶しく訊ねた。
— 国木田独歩 『富岡先生』 青空文庫
」 前の世の罪ででもある事か、と自ら危ぶみ、惶れ、惑い、且つ怪んでいた葛木は、余りの呆気なさにかえって驚いたのである。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
其と同時に、土方や職人や商人や百姓や工女や教師や吏員や學生や、または小ツぽけな生徒などが、何れも憔た姿、惶々とした樣子で、幻影のやうに霧の中をうごめいて行くのが眼に映る。
— 三島霜川 『解剖室』 青空文庫
かの狗子白毛にて黒斑、惶々乎とし屋壁に踞跼し、四肢を側立て、眼を我に挙げ、耳と尾とを動かして訴えてやまず。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
そして、咄嗟の逆転に何が何やら判らず、ひたすら狼狽しきっている熊城等を追い立てて、伸子の身体を愴惶と運び出させてしまった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
調査が終ると、三人は愴惶に石棺の蓋を閉じて、この圧し狂わさんばかりの、鬼気から遁れていった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫