鈿
でん
名詞
標準
文例 · 用例
その、十二光仏の周囲には、玉、螺鈿を、星の流るるが如く輝かして、宝相華、勝曼華が透間もなく咲きめぐっている。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
影をうけた束、貫の材は、鈴と草の花の玉の螺鈿である。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
雲ハ経紙ノ紺ニ暮レ、 樹ハカグロナル山山ニ、梢螺鈿ノサマナシテ、 コトトフコロトナリニケリ。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
かの女は、金を使うのに螺鈿の軸の万年筆で小切手帳に金額とサインをする労力だけ払えばあとは顧ることなしに無尽蔵の資力をうしろに控えていた。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
窓は月のあかりでまるで螺鈿のやうに青びかりみんなの顔も俄に淋しく見えました。
— 宮沢賢治 『氷河鼠の毛皮』 青空文庫
立上りはしないで、傘なりに少し屈腰になって、その白い手で、トンと敲いたと思うと、蘭燈といいますか、かさなり咲いた芍薬の花に、電燈を包んだような光明がさして、金襴の衾、錦の褥、珊瑚の枕、瑠璃の床、瑪瑙の柱、螺鈿の衣桁が燎爛と輝いた。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
七宝の粧も螺鈿の衣桁もたちまち消えて、紗綾、縮緬も、藁、枯枝、古綿や桃色の褪せた襤褸の巣となったんです。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
螺鈿の置き棚二つへ院のお召し料の衣服箱四つを置いて、夏冬の装束、香壺、薬の箱、お硯、洗髪器、櫛の具の箱なども皆美術的な作品ばかりが選んであった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫