黒糸
くろいと
名詞
標準
文例 · 用例
これより先山本勘助晴幸は、今度の作戦の失敗の責任を思い、六十三歳の老齢を以て坊主頭へ白布で鉢巻きをなし、黒糸縅しの鎧を着、糟毛の駿馬にうちまたがり三尺の太刀をうちふり、手勢二百をつれて岡附近の最も危険な所に出で、越軍の中に突入し、身に八十六ヶ所の重傷をうけて部下と共に討死した。
— 菊池寛 『川中島合戦』 青空文庫
信玄は黒糸縅しの鎧の上に緋の法衣をはおり、明珍信家の名作諏訪|法性の兜をかむり、後刻の勝利を期待して味方の諸勢をはげましていた。
— 菊池寛 『川中島合戦』 青空文庫
黒糸を黄化す、青糸を赤変す。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
景蔵のところへは特に世話になった礼だと言って、副将田丸稲右衛門が所伝の黒糸縅の甲冑片袖を残した。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
冠者の左側に坐っているのは数馬にとっては一面識ある冠者の義弟石川五右衛門で、黒糸|縅の大鎧、総髪の上に鉢巻をし、陣刀を握って杖突いている。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
以前よりは悲しき声にて歌う)白糸の清ければ乙女心よ、やがて染む緋や紫やあるは又罪の恐れの暗に似てか黒き色の罪の黒糸罪の黒糸。
— 国枝史郎 『レモンの花の咲く丘へ』 青空文庫
白糸の清ければ乙女心よ、やがて染む緋や紫や或はまた罪の恐れの暗に似てかぐろき色の罪の黒糸罪の黒糸ヨハナーンよ!
— 国枝史郎 『レモンの花の咲く丘へ』 青空文庫
」 こう考えて、弁慶は黒糸おどしの鎧の上に墨ぞめの衣を着て、白い頭巾をかぶり、なぎなたを杖について、毎晩五条の橋のたもとに立っていました。
— 楠山正雄 『牛若と弁慶』 青空文庫