聞き齧り
ききかじり
名詞
標準
文例 · 用例
)実はあんまり寂しいので、聞きかじりの小唄を出たらめに、はははははは。
— 岡本綺堂 『影』 青空文庫
さうでなければ、聞きかじりの噂話を本当にしたやうなものが多い。
— 田山録弥 『エンジンの響』 青空文庫
里方の志津野家が少し学問系統の家であったのと、三十幾つまで「行かず後家」の境遇にあったのとのためだろう、浄瑠璃とか、草双紙とか、軍談とかいうような物には、大ぶん聞きかじりで通じていた。
— 堺利彦 『私の母』 青空文庫
そしてそれと同時に、聞きかじりの蝦夷の様子がやかましく述べたてられた。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
尤も私はただ東京帰りの聞きかじり西洋通の青年であるから、さほど度胸もなく見識もなかったのだが、年の若いだけに別に心配もなく先輩に追随していた。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
この事件も、どんな風にまたどう繋争したかということが知れたら面白くもあり、一つの記録ともなるであろうし、清水という人の性格もしっていたら書きたいが、子供心にはそうたいした事件であろうと思うどころか、覚えていたのが不思議なほどの、かすかな聞きかじりだ。
— 長谷川時雨 『最初の外国保険詐欺』 青空文庫
前日通夜の折に、お母さんもせめて庄司さんの結婚式までは生きていたかったんでしょうねえと、信子の母が他の人に話してた言葉を、私はふと聞きかじり、私の母が私の妻へと望んでいたのが信子であることを知っていたので、私はそのとっさに、信子の耳を思い浮べて、嫌な気がしたものだった。
— 豊島与志雄 『道化役』 青空文庫
」と子供達を寝かしつけてきたお久が、聞きかじりの余計な口を出した。
— 豊島与志雄 『神棚』 青空文庫