流れ雲
ながれぐも
名詞
標準
文例 · 用例
夜は次第に更けてゆく、流れ雲の動く隙間から月影がちらと光を放つと見れば、目に視る間もなく、直ぐ暗闇に返る。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
性格のなくなつたこの狂人女に対して、直吉は杳かな流れ雲を見てゐるやうな、郷愁を感じてゐた。
— 林芙美子 『瀑布』 青空文庫
」 この時、太陽はもうだいぶ西にかたむいて、空には流れ雲が、まっ赤にそまっている。
— 平田晋策 『昭和遊撃隊』 青空文庫
流れ雲が影を落して過ぎました。
— ――近代説話―― 『白蛾』 青空文庫
午後、流れ雲が空のあちこちに浮んでいたのが夕方になって、消え去ったり寄り集まったりしているうちに、更にその上方高く、入道雲が出てきまして、両方が重り合い乱れ合って、急に暗くなってゆきました。
— ――近代説話―― 『落雷のあと』 青空文庫
野のはての空に連なるかと思われるところに汽車が走り、ひとつまみの流れ雲に見えるのは汽車の煙なのである。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
郷里の土を踏むことが、うれしからぬわけはなく、乱心の言わせる言葉なのだから、お気にさえられぬようにと、丁寧な挨拶をしていると、庄吉は流れ雲を眼で追いながら、「嘘つけ、清兵衛」と合ノ手を入れた。
— 久生十蘭 『ボニン島物語』 青空文庫
秋を思わせる白い流れ雲の間に、たとえようもなく美しい紺青の空が澄みあがっている。
— 山本周五郎 『新潮記』 青空文庫