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己心

こしん
名詞
1
標準
文例 · 用例
ことにそれは、この闇の中に、ボンヤリすわって時々、「シッカリしないか」とだけ怒鳴る船長の、利己心からのみ起こった一切だ、という感じが、いつのまにか、闇が産みつけでもしたように、二人の胸の中に食い入っていたのであった。
葉山嘉樹 海に生くる人々 青空文庫
ヨブは十九章において自己心霊一個の問題をその根源において解きし故、これからは眼を広く世界に放って人生問題、宇宙問題の研究に従わねばならぬ。
内村鑑三 ヨブ記講演 青空文庫
かくして自己心霊の問題、自己以外の世界宇宙の問題など、およそ世にある大問題を解き終えて、遂に己を苦めし友を赦し得る愛にまで到達するのである。
内村鑑三 ヨブ記講演 青空文庫
「おばさん一緒に死んで呉れると云ったわね」 と夫のある自分をいくら少女でも十四にもなった政枝が思いやりもなく責めるのも、可愛相より時には怖しく聞く多可子は、その病的な利己心にそら怖ろしい気がするのであった。
岡本かの子 勝ずば 青空文庫
そのため彼等はやがて高等文官試験に合格した日、下宿の娘の誘惑に陥らないような克己心を養うことに、不断の努力をはらっていた。
織田作之助 青空文庫
源少納言や讃岐守は得意顔で出入りするであろうが、こちらはあまり好意を持たれない婿で通って行くのもみじめなものだよ」 仲人は追従男で、利己心の強い性質から、少将のためにも、自身のためにも都合よく話を変えさせようと思った。
東屋 源氏物語 青空文庫
いかなれば我をさまで利己心多きものとはし給ふぞ。
IMPROVISATOREN 即興詩人 青空文庫
それに庸三は、生活の責任を回避しながら――それには現実に即しえられない彼女の本質的な欠陥があるという理由があるにしても――彼女の愛を偸もうとする利己心を、性格のどこかに我知らず包蔵していた。
徳田秋声 仮装人物 青空文庫