惨々
惨々
名詞
標準
文例 · 用例
(F・O) =(F・I)夜の町 惨々な目に遭って節々の痛みに足を引き摺り乍ら帰って来る典六。
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫
丁度好いところへお出でした」 眼のみいと大くて、病勝に痩衰へたる五体は燈心の如く、見るだに惨々しながら、声の明にして張ある、何処より出づる音ならんと、一たびは目を驚かし、一たびは耳を驚かすてふ、貫一が一種の化物と謂へるその人なり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
――あゝ、俺はあいつが煩ひ、あいつのお蔭で何も彼も惨々だ、あいつの姿を想ふと俺はこの世に軽蔑されるがために生れて来たやうな気がする、あいつの羽ばたきに出遇ふと俺の体はバラバラに飛び散つてしまひさうだ、あいつの叫び声を……」「煩いツ!
— 牧野信一 『鶴がゐた家』 青空文庫
折角のトランプも惨々な敗北になつたし、光子さん達はいゝ気になつて手を打つて喜ぶ――物語もこゝで切断!
— 牧野信一 『青白き公園』 青空文庫
これにすら私の神経は惨々に疲れてしまつてゐて――笑ひが止まると、たゞ苦いやうな顔をして洞ろな頭を静かに手の先で按んでゐるばかりだつた。
— 牧野信一 『痴想』 青空文庫
雪江が切りに指さすので滝尾が、傍らの長持の蓋をあけて見ると、実に惨々なかたちになつた裸人形の、腕や胴や脚が、バラ/\に分解されたまゝ投げ込んであつた。
— 牧野信一 『夜の奇蹟』 青空文庫
」 水夫が弁明すると踊子は、いきなり「南方の魔術師」の酒壺にささつてゐる黄色い花をつかんで水夫の顔に投げつけながら口を極めて惨々に罵つた。
— 牧野信一 『山彦の街』 青空文庫
」 水夫が踊子につかまつて、惨々な目に合されてゐるところに、花売娘の手を携へた、エピキユール学校のソフイストが戻つて来た。
— 牧野信一 『山彦の街』 青空文庫