歯向
はむき
名詞
標準
文例 · 用例
――塩で釣出せぬ馬蛤のかわりに、太い洋杖でかッぽじった、杖は夏帽の奴の持ものでしゅが、下手人は旅籠屋の番頭め、這奴、女ばらへ、お歯向きに、金歯を見せて不埒を働く。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
汚いなどとその頃の人間は、決して思いはしなかった」「では、そのころ、人間と仲の好かった獣達が、なぜ今は、山の奥などへ、立てこもって、人間に、歯向かったりするのですか」「人間は、その後追々たくさんの子孫をふやした。
— 岡本かの子 『トシオの見たもの』 青空文庫
うう、と唸る、びょうびょう歯向く。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
それに歯向かうには真実で歯向かうほかはない。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
見上げると八合目まで雪になったマッカリヌプリは少し頭を前にこごめて風に歯向いながら黙ったまま突立っていた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
刃に歯向う獣のように捨鉢になって彼れはのさのさと図抜けて大きな五体を土間に運んで行った。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
自然に歯向う必死な争闘の幕は開かれた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
宿命にはどうしても歯向かえなかった。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫