蛮
ばん
名詞
標準
文例 · 用例
その野蛮な荒々しい響からして、急に室内の空気が振動した。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
「支那も昔は聖賢の教ありつる国」で、孔孟の生れた中華であったが、今は暴逆無道の野蛮国であるから、よろしく膺懲すべしという歌が流行った。
— 萩原朔太郎 『日清戦争異聞(原田重吉の夢)』 青空文庫
故にもし感情のみが高調して、これを観照する智慧が無かったならば、吾人は野蛮人や野獣のように、ただ狂号して吠え、無意味な絶叫をするのみだろう。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
また熱帯無人境の阿弗利加内地や、原始的なる南洋タヒチの蛮島等は、単にそれを思うだけでも、吾人にとって詩的の興奮を感じさせる。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
反対にそうした蛮地に住んでいる土人は、近代文明の不思議な機械や、魔術のような大都会や、玻璃宮の窓に映る不夜城の美観を眺めて、この上もなく詩的なものに思うであろう。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
その始めは彼等の国語も、殆ど文学的に使用できない粗野の蛮人語にすぎなかったのだ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
何ものにも捉はれない野蛮人めいた狂暴無智の感情の大浪と、そのうねりくねる所の狂的なリズム。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
彼の神経は、近代文明の病癖を受けて針のやうに過敏であり、その感覚は驚くべく洗練された者であるにも関らず、彼の精神は全く子供のやうな単純さと、野蛮人のやうな生生した原始的の驚きに充たされて居る。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫