横紙
よこがみ
名詞
標準
文例 · 用例
我こそは、信州上田の鬼小姓、笛も吹けば、法螺も吹く、吹けば飛ぶよな横紙を破った数は白妙の、衣を墨に染めかえて、入道姿はかくれもなき、三好清海入道なり」 と、名乗った。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
いっそ風をくらって、逃げてやろうと思っていたが、どっこい、くらった風が無類の暴れ者、この五体中を駈けずり廻り、横紙破って出たのは、咳やら熱やら、ひどい目に会うてしまったよ。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
途端に笛の音がやんで、隣から聴え来たのは、「我こそは信州真田の鬼小姓、笛も吹けば法螺も吹く、吹けば飛ぶよな横紙を、破った数は白妙の、衣を墨に染めかえた、入道姿はかくれもなき、天下の横紙破り三好清海入道だ」「なアんだ、三好か」 佐助はふき出してしまった。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
奇行、珍癖の横紙破りが多い将棋界でも、坂田は最後の人ではあるまいか。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
いや、無学文盲で将棋のほかには何にも判らず、世間づきあいも出来ず、他人の仲介がなくてはひとに会えず、住所を秘し、玄関の戸はあけたことがなく、孤独な将棋馬鹿であった坂田の一生には、随分横紙破りの茶目気もあったし、世間の人気もあったが、やはり悲劇の翳がつきまとっていたのではなかろうか。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
しかし、坂田の端の歩突きは、いかに阿呆な手であったにしろ、常に横紙破りの将棋をさして来た坂田の青春の手であった。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
「ファビアン」は第一次大戦後の混乱と頽廃と無気力と不安の中に蠢いている独逸の一青年を横紙破りの新しいスタイルで描いたもので、戦後の日本の文学の一つの行き方を、僕はこの小説に見たと思った。
— 織田作之助 『土足のままの文学』 青空文庫
土足のままといっても、しかし、何でもかでも横紙を破り、破目を外し、メチャクチャになれというわけではない。
— 織田作之助 『土足のままの文学』 青空文庫