駆来
かけるき
名詞
標準
文例 · 用例
轟然と飛ぶが如くに駆来ッた二台の腕車がピッタリと停止る。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
笄を質に入れたなどと話していると、遥に東の方よりむら立つ雲もなく、虚空を渡るがごとく、車の駆来る音して、しばらくの間に目前へ近づいたのを見ると、あら、可恐し、素裸の荒漢、三人、車を宙に輾くごとし。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
稍ありて犬は奥より駈来り、予が立てる前を閃過して藪の外へ飛出だせり。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
梶棒を挙げて一町ばかり馳出だせる前面より、颯と駈来る一頭の犬あり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
(じゃむこう)は召しに応じて、大なる顔を、縁側に擡げて座敷を窺い、飜然と飛上りて駈来り、お丹の膝に摺寄れば、髻を絡巻ける車夫の手を、お丹|右手にて支えながら、左手を働かして、(じゃむこう)の首環を探り、紙片を引出して、悠々と皺を伸しつ、「そんなにしなさんな、頭痛がすらあね。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
と間もなく横山町辺の提灯をつけた辻駕籠一梃、飛ぶがように駈来って門口に止るや否や、中から転出る商人風の男、「先生は御在宅でいらっしゃいますか。
— 永井荷風 『散柳窓夕栄』 青空文庫
ざ板の間より、段/\つきまわり候へども、一向土斗突、何処におるともしれ申さず候処、権八抜身にて駈来り、扨/\何事にて御座候哉。
— 稲生武太夫 『三次実録物語』 青空文庫