怫
怫
名詞
標準
文例 · 用例
』 これを聞くや否や、ラクダルは手に持て居た無花果を力任かせに投げて怫然と親父の方に振り向き『此兒を私の弟子にするといふのですか貴樣は?
— 国木田独歩 『怠惰屋の弟子入り』 青空文庫
拝見の博士の手前――二の矢まで射損じて、殿、怫然とした処を、(やあ、飛鳥、走獣こそ遊ばされい。
— 泉鏡花 『妖魔の辻占』 青空文庫
季因是はこれを聴くと怫然として奥へ入ってしまって久しく出て来なかった。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
季因是はこれを聴くと怫然として奥へ入つて了つて久しく出て来なかつた。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
なおくどく問えば怫然として、面ふくらかして去る。
— 幸田露伴 『突貫紀行』 青空文庫
その語気の人もなげなるが口惜しくて、われにもあらず怫然として憤りしが、なお彼らが想像せる寃罪には心付くべくもあらずして、実に監獄は罪人を改心せしむるとよりは、罪人を一層悪に導く処なりと罵りしに、彼は僅かに苦笑して、とかくは自分の胸に問うべしと答えぬ。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
文三も怫然とはしたが、其処は内気だけに何とも言わなかった。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
彼が肝膽を碎いて錬り上げ、もはや間然するところなしとまで考へて提出する意見が、根本的にくつがへされて返される時など、自信の強かつた太田は怫然として忿懣に近いものすら感じた。
— 島木健作 『癩』 青空文庫