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蒸々

蒸々
名詞
1
標準
文例 · 用例
蒸々と悪気の籠った暑さは、そこらの田舎屋を圧するようで、空気は大磐石に化したるごとく、嬰児の泣音も沈み、鶏の羽さえ羽叩くに懶げで、庇間にかけた階子に留まって、熟と中空を仰ぐのさえ物ありそうな。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
夜深しに汗ばんで、蒸々して、咽喉の乾いた処へ、その匂い。
泉鏡花 草迷宮 青空文庫
昼の疲もあり、蒸々する晩でもあり、不寝番の控室てはとろとろと仮寝の鼾も出ようと云ふ真夜中に、けたゝましいもの音、やにはに飛出した囚人。
平出修 逆徒 青空文庫
加持力の儀典、行列から離れて、授戒會の儀式を離れて、而かも尚蒸々たる衆生は、神人を忘るる底の莊嚴なる醉を、そも何れの經典から搜し出さうとする。
木下杢太郎 海郷風物記 青空文庫
蒸々とした空気と、人の息とで、捨吉達はすこし逆上せる程であった。
島崎藤村 桜の実の熟する時 青空文庫
やがて蒸々とする恐ろしい夏の熱がやって来た。
島崎藤村 桜の実の熟する時 青空文庫
その上にストーヴなどを焚いてゐる部屋にゐると、温泉にでもつかつてゐるかのやうに蒸々として、汗が滲みさうだつた。
牧野信一 痴日 青空文庫
いつか梅雨期の蒸々した鬱陶しい日が來た。
嘉村礒多 崖の下 青空文庫