莅
莅
名詞
標準
文例 · 用例
相莅むにはあらず、相望見する也。
— 幸田露伴 『囲碁雑考』 青空文庫
殊に晩年に莅みて、教法の形式、制限を脱却すること益著るく、全人類に亘れる博愛同情の精神愈盛なりしかど、一生の確信は終始毫も渝ること無かりき。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
が、吉田忠左衛門はしずかにそれを制して、「この場に莅んで変心するような臆病者をむりに引張ってきてもしかたがない。
— 森田草平 『四十八人目』 青空文庫
それでいながら、俺にはまだ死ぬ覚悟がつかない――この期に及んで、この土壇場に莅んで!
— 森田草平 『四十八人目』 青空文庫
谿流に莅んだ温泉鑿掘の現場。
— 岸田國士 『浅間山』 青空文庫
梅痴は弘化三年丙午の冬下総飯沼にある同名の弘経寺に転住するに莅んで、「双林投老閲六年。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
これは去年の正月松塘が枕山の家を訪うた時、杉田の梅一枝を土産にした事があったので、今年は枕山の方から松塘を訪問するに莅んで、去年の返礼にと同じ杉田の梅を携えて行ったわけである。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
毅堂は妻子を名古屋の家に留めて置いたので、任所に赴くに莅んで縫※の労を取らしむるがためにしげ次を雇入れたのである。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫