雑極
ざつきょく
名詞
標準
文例 · 用例
こういう疑いは、問題の学問が、複雑極まる社会人間に関する場合に最も濃厚であるが、しかし、外見上人間ばなれのした単なる自然科学の研究についても、やはり起こし得られる疑問である。
— 寺田寅彦 『学問の自由』 青空文庫
人情と義理と利害をXYZの座標とする空間に描きだされた複雑極まりない曲面の集合の一つの切り口が見える。
— 寺田寅彦 『年賀状』 青空文庫
これと反対に、紛雑極まりない現実の真直中に分け入り無私と慈悲を行い、和恭勤勉を保って行くという、積極的な現実浄化の仕事こそ、難事中の難事であります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
欧洲大乱といふ複雑極まる混乱した現象を、斯う鷲攫に纏めて観察した時、自分は始めて此戦争に或意味を附着する事が出来た。
— 夏目漱石 『点頭録』 青空文庫
この二様の精神すなわち義務の刺戟に対する反応としての消極的な活力節約とまた道楽の刺戟に対する反応としての積極的な活力消耗とが互に並び進んで、コンガラカッて変化して行って、この複雑極りなき開化と云うものができるのだと私は考えています。
— ――明治四十四年八月和歌山において述―― 『現代日本の開化』 青空文庫
随って混雑極まる乱軍の中にも、一種冷静の気を見出すことが能る。
— 岡本綺堂 『一日一筆』 青空文庫
鶏や、豚や、林檎や、ダリヤが、その純粋種から進化して、その時代時代の趣味文化を象徴し、代表しつつ、次第次第に複雑極端になって行ったように……。
— 夢野久作 『探偵小説の真使命』 青空文庫
だから私は外の理由でなら兎も角、川口氏の粗雑極まる芸術論を支持しないからといふ理由で、「彼は非マルクス主義的な泥沼に片足を踏みこんだことになる」と決定されることは少々不服なのである。
— 平林初之輔 『諸家の芸術価値理論の批判』 青空文庫