所在不明
しょざいふめい
名詞
標準
文例 · 用例
のみならず、算哲の身辺事情中には、全然動機の所在不明にして、天寿の終りに近き篤学者が、いかにしてかかる愚挙を演じたるものや、その点すこぶる判断に苦しむところと云うべし――。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
と云うのは、大検挙の際、所在不明を伝えられた利得金が戻ってくるのであって、それは三伝が、ある銀行に変名で預け入れてあったのである。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
あれは悪いことの出来る人間じゃないよ」「それから所在不明といえば、あの西一郎という男ですネ。
— 海野十三 『恐怖の口笛』 青空文庫
三月になってからであったか、或る日、風のたよりに宮本がひどく病気であるという噂のあること、だが何処に置かれているのかさがしても所在不明であるということが、わたしの耳にはいった。
— 宮本百合子 『鈍・根・録』 青空文庫
それから幾年、また勝川おばさんの所在不明。
— 長谷川時雨 『勝川花菊の一生』 青空文庫
併し舊帳簿に登録してあるからといふので、所在不明の二十餘州を削除せずに、本の儘に百七州としたといふ。
— 桑原隲蔵 『支那人の文弱と保守』 青空文庫
領内の行政區の所在不明といふのも支那式だが、更にその所在の判明せぬ州をその儘に、保存繼承した點が面白いでないか。
— 桑原隲蔵 『支那人の文弱と保守』 青空文庫
前号所載「五箇所唱門」中の中尾部落の所在不明と書いておいたが、唱門辻子なる陰陽町に中尾氏なる陰陽師があって、もと吉備公の後裔で、吉備塚の辺りに住み、地名から中尾と称したと伝えられていると、森口奈良吉君から注意された。
— 喜田貞吉 『俗法師考』 青空文庫