浅黄
あさぎ
名詞名詞-の形容詞
標準
light yellow
文例 · 用例
洞から水を汲みに出た水無瀬女は、浅黄の空に、在りとしも思えず、無しと見れば泛ぶかの気の姿の、伯母の福慈の女神に遇った。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
泡の玉は暗い水底より早昧そのものの色である浅黄色の中に、粒白の玉として生れ出で、途中真珠の色に染め做されつつ浮き泡となり水面に踊って散り失す。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
関のさびれた町に入って主人は作楽井が昨年話して呉れた古老を尋ね、話を聞きながらそこに持ち合っている伊勢詣りの浅黄の脚絆や道中差しなど私に写生させた。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
「歩く拍子に紅のはつちと浅黄縮緬の下帯がひらりひらりと見え」とか「肌の雪と白き浴衣の間にちらつく緋縮緬の湯もじを蹴出すうつくしさ」とかは、確かに「いき」の条件に適っているに相違ない。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
葛籠の底に納めたりける一二枚の衣を打かへして、浅黄ちりめんの帯揚のうちより、五|通六通、数ふれば十二|通の文を出して旧の座へ戻れば、蘭燈のかげ少し暗きを、捻ぢ出す手もとに見ゆるは殿の名。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
」 看護員はひしひしとその身を擁せる浅黄の半被股引の、雨風に色|褪せたる、たとえば囚徒の幽霊のごとき、数個の物体を※わして、秀でたる眉を顰めつ。
— 泉鏡花 『海城発電』 青空文庫
「お柳、」と思わず抱占めた時は、浅黄の手絡と、雪なす頸が、鮮やかに、狭霧の中に描かれたが、見る見る、色があせて、薄くなって、ぼんやりして、一体に墨のようになって、やがて、幻は手にも留らず。
— 泉鏡花 『木精(三尺角拾遺)』 青空文庫
背には綿の厚い、ふっくりした、竪縞のちゃんちゃんを着た、鬱金木綿の裏が見えて襟脚が雪のよう、艶気のない、赤熊のような、ばさばさした、余るほどあるのを天神に結って、浅黄の角絞の手絡を弛う大きくかけたが、病気であろう、弱々とした後姿。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
作例 · 標準
浅黄の例文