幻辞.com

濃やか

こまやか
形容動詞
1
標準
文例 · 用例
婦人と雨 しとしとと降る雨の中を、かすかに匂つてゐる菜種のやうで、げにやさしくも濃やかな情緒がそこにある。
萩原朔太郎 宿命 青空文庫
ああこの濕ひのある雨氣の中で、婦人らの濃やかな吐息をかんず。
萩原朔太郎 宿命 青空文庫
水蒸気があまりに濃やかであったため、待ち設けなかった御来光が、東の空にさした。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
ここに一際夜の雲の濃やかに緑の色を重ねたのは、隅田へ潮がさすのであろう、水の影か、星が閃く。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
松のみどり濃やかに、枝葉汐風に吹きたわめて、屈曲おのずからためたる如し。
太宰治 惜別 青空文庫
一しきり人出の減った海は何処か空の一隅の薄曇りの影さえ濃やかな波の一つ一つの陰に畳んでしっとりと穏かだった。
岡本かの子 鶴は病みき 青空文庫
練つて練り拔いて眞綿の密精の樣な粘着力と艷を持ち、味はただ燒いたくらゐで喰べるとあまりに濃やかに過ぎるのであつた。
岡本かの子 雜煮 青空文庫
質の好い鰹ぶしを濃かにかいて煮だし汁をとり、それよりもなほ一層濃やかに細い花瓣を盛つた樣にかき重ねた鰹魚ぶしをその煮だし汁に一つまんまるく落した餅の上に積む。
岡本かの子 雜煮 青空文庫
濃やか(こまやか) — 幻辞.com