跨
跨
名詞
標準
文例 · 用例
崖下の黯い水も、何か喚きながら、高股になって、石を跨ぎ、抜き足して駈けている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
暁を思わせるうす紅色で、雨気を含んだ虚空に、浸み透るように、暈して描かれた自分たちの印画は、この大なる空間を跨いで、谷間へと消え落ちた。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
日本で一番名高いのは「越の白山」と古歌に詠まれた加賀(飛騨にも跨がる)白山(二六八七|米突)である。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
あの人の一生の念願とした晴れの姿は、この老いぼれた驢馬に跨り、とぼとぼ進むあわれな景観であったのか。
— 太宰治 『駈込み訴え』 青空文庫
頭の上で近付けた両手を急速に左右に離して空中に円を描くような運動、何かものを跨ぎ越えるような運動、何ものかに狙い寄るような運動、そういうような不思議な運動が幾遍となく繰り返された。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
しかし不幸にして特に四十二歳の前後に跨がった著しい突起を見出すことは出来なかった。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
友染の羽織を着たのが、店から火鉢を抱えて来て、膝と一所に、お大事のもののように据えると、先生は引跨ぐ体に胡坐の膝へ挟んで、口の辺を一ツ撫でて、「敷きな、敷きな。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
心づけても言うことを肯かぬ、羽織の紐を結ばずに長くさげて、大跨に歩行いて来て、「早瀬さん、先生が、」 二階の廊下は目の上の、先生はもう御存じ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫