物強請り
ものねだり
名詞
標準
文例 · 用例
それは規矩男が、一番平凡になって異性に物ねだりするときの顔付きであった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
それも無い物ねだりで、有る結構な干菓子は厭で、無い一文菓子が欲しいなどと言出して、母に強求るが、許されない。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
あの時は油断があったればこそ――」「それなら、なぜ、手を出さないんです、よう、先生」二一 お初は、皮肉に、鼻声を出して、物ねだりをするように繰り返した。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
けれども、私は何時までも、自分の考へてゐる最も重要なことについては、駄々つ子が物ねだりをするよりも、まだうるさいと思はれる位に、云ひたいと思つてゐる。
— 伊藤野枝 『感想の断片』 青空文庫
人間の慾は常に無い物ねだりである。
— 坂口安吾 『三十歳』 青空文庫
わがままな子供が物ねだりをするように、ただ、むやみとイチズで、左右のことを顧慮しない。
— 三好十郎 『肌の匂い』 青空文庫
お望みとあれば、大橋伝中の隠れ家も二万両の金の隠し場所も」「――」「親分さん」 お銀は寄り添うように、銭形平次の側に身を寄せると、そっと膝の上に手を置いて、子供が母親に物ねだりするように、その膝をゆすぶり始めるのです。
— 怪盗系図 『銭形平次捕物控』 青空文庫
そして、ない物ねだりの史蹟一巡をこころみる。
— 吉川英治 『随筆 私本太平記』 青空文庫