梅雨頃
つゆごろ
名詞
標準
文例 · 用例
大抵は七八月の夏場か十月十一月の紅葉の頃だが、五年前にたった一度、六月の梅雨頃にここへ来たことがある。
— 岡本綺堂 『河鹿』 青空文庫
梅雨頃のおぼつかなげな、白い胡蝶、潮風に乗って彷徨う揚羽蝶、てんとう虫、兜虫、やがて油照りがつづくと、やんまの翅をこする音がきこえ、蜥蜴の砂を崩す姿がちらついた。
— 原民喜 『吾亦紅』 青空文庫
それは梅雨頃から咲きはじめて、一つが朽ちかかる頃には一つが咲き、今も六|瓣の、ひっそりした姿を湛えているのだった。
— 原民喜 『壊滅の序曲』 青空文庫
それは梅雨頃から咲きはじめて、一つが朽ちかかる頃には一つが咲き、今も六瓣の、ひつそりとした姿を湛へてゐるのだつた。
— 原民喜 『壊滅の序曲』 青空文庫
然し梅雨頃に比べれば生れ更ったようなもんです、湿気は実に障りますなあ」 磯田は近年激しい神経痛に悩まされ、駿河台の脳神経専門家の許で絶えず電気療法を受けていた。
— 宮本百合子 『一本の花』 青空文庫
梅雨頃の気分が心辺に漂っていて、白い絹糸のもつれたような雲が藁屋の頂を流れて行きます。
— 小川未明 『童話の詩的価値』 青空文庫
――春の頃からのひでりを、もう梅雨頃と、空あいを見て祷り出せば、たいがい雨に間に合ってくる。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
「オオ、鶯が啼きぬいて」「梅雨頃には、昼間も、昼ほととぎすが啼きぬくが……まだ時鳥は」「ご返杯じゃ。
— 空の巻 『宮本武蔵』 青空文庫