禿頭
とくとう
名詞
標準
文例 · 用例
彼が船へ持って来たものは、そのからだと、その切り捨てられた仕事着と、初期の禿頭病とだけであった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
日比谷公會堂での三度目の辱かしめられた演奏會がをはつた夜、馬場は銀座のある名高いビヤホオルの奧隅の鉢の木の蔭に、シゲテイの赤い大きな禿頭を見つけた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
十年ほど前にある人から私の頭の頂上に毛の薄くなった事を注意されて、いまに禿げるだろうと、予言された事があるが、どうしたのかまだ禿頭と名の付くほどには進行しない。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
禿頭は父親から男の子に遺伝する性質だという説があるが、それがもし本当だとすると、私の父は七十七歳まで完全に蔽われた顱頂を有っていたから、私も当分は禿げる見込が少ないかもしれない。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
宿の主人は禿頭の工合から頬髯まで高橋是清翁によく似てゐる。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
宅の白猫の顏に少し似てゐるが、あの喇叭のやうな恰好をして、さうして禿頭のやうな色彩を帶びた鼻面はセンシユアルでシユワイニツシである。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
宿の主人は禿頭の工合から頬髯まで高橋|是清翁によく似ている。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
もっとも、すぺりと円い禿頭の、護謨、護謨としたのには、少なからず誘惑を感じたものだという。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫