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空樽

あきだる
名詞
1
標準
文例 · 用例
――やがて近江屋へ帰って、敷石を奥へ入ると、酒の空樽、漬もの桶などがはみ出した、物置の戸口に、石屋が居て、コトコトと石を切る音が、先刻期待した小鳥の骨を敲くのと同一であった。
泉鏡花 みさごの鮨 青空文庫
汚れた帆前垂れは、空樽に投げかけたまゝ一週間ほど放ってあったが、間もなく、杜氏が炊事場の婆さんに洗濯さして自分のものにしてしまった。
黒島傳治 砂糖泥棒 青空文庫
鳥居前のお前さん、乱暴じゃあがあせんか、華族様だってえのにどうです、もっともまああの方にゃあ不思議じゃねえようなものの、空樽の腰掛だね、こちとらだって夏向は恐れまさ、あのそら一膳飯屋から、横っちょに駆出したのが若様なんです。
泉鏡花 黒百合 青空文庫
犬は、その空樽を鯨におやりなさいと言いました。
鈴木三重吉 黄金鳥 青空文庫
やはり前と同じように、魚たちはうじ虫をもらい、鯨は空樽をもらいました。
鈴木三重吉 黄金鳥 青空文庫
娘三はうけ取りて眼かづらをかけ、空樽をさげる。
岡本綺堂 箕輪の心中 青空文庫
おれが飯屋へ飛び込んで空樽に腰掛けるのもそれだ。
石川啄木 一利己主義者と友人との対話 青空文庫
そのうちに樽の中が泡ばかりになりかけて来ると、重役連中が一人逃げ二人逃げ、しまいには相手の選手までいなくなって、カンカン日の照る草原に天幕と空樽と、コップの林と、入れ代り立ち代り小便をする味方の選手ばかりになってしまった。
夢野久作 ビール会社征伐 青空文庫