思案顔
しあんがお
名詞
標準
pensive (or worried) look on one's face
文例 · 用例
七 親父はその晩、一合の酒も飲まないで、燈火の赤黒い、火屋の亀裂に紙を貼った、笠の煤けた洋燈の下に、膳を引いた跡を、直ぐ長火鉢の向うの細工場に立ちもせず、袖に継のあたった、黒のごろの半襟の破れた、千草色の半纏の片手を懐に、膝を立てて、それへ頬杖ついて、面長な思案顔を重そうに支えて黙然。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
さすがに商魂で鍛え上げたような矢部も、こいつはまだ出くわさなかった手だぞと思うらしく、ふと行き詰まって思案顔をする瞬間もあった。
— 有島武郎 『親子』 青空文庫
それで、この頃では何んなに私が、ぼんやりと、ランプを眺めようとも、論争に口出しをしなからうと、昨日の約束を忘れて白い顔をしてゐようとも、どんな寝言を吐かうとも、誰も抗議を出す者もなく、皆々はそつと私の思案顔をそのまゝにして、歌の出来る日を待つてゐる――といふことになつてゐるのです。
— 牧野信一 『歌へる日まで』 青空文庫
梟 シャルル・ボドレエル黒葉水松の木下闇に並んでとまる梟は昔の神をいきうつし、赤眼むきだし思案顔。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
梟 シャルル・ボドレエル 黒葉水松の木下闇に 並んでとまる梟は 昔の神をいきうつし、 赤眼むきだし思案顔。
— 上田敏訳詩集 『海潮音』 青空文庫
あの横顔を見ろ、どっかカワカミに似ているじゃないか」 フランク大尉はしばし思案顔であったが、何事か決心したものとみえ、「うむ、やっぱりカワカミに違いない。
— 海野十三 『浮かぶ飛行島』 青空文庫
覚えが無いなら無いで好やアネ、何にもそんなに熱くならなくッたッて」「だッて人をお疑りだものヲ」 暫らく談話が断絶れる、母親も娘も何か思案顔。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
「いやそうとはいえまい」とゴルドンは思案顔に「昨夜の嵐におそれて舟が出ないのかもしらんよ」 三人が議論をしているあいだに、他の少年たちはもう上陸の準備にとりかかった。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
作例 · 標準
部長は提出された企画書を読みながら、しばらくの間、難しい思案顔を浮かべていた。
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彼女は窓の外を眺めながら、何か決断しきれないことがあるのか、ずっと思案顔のままだ。
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盤面をじっと見つめる棋士の思案顔には、勝負の行方を左右する緊張感が漂っていた。
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