心なし
こころなし
名詞副詞
標準
somehow
文例 · 用例
落日の華やかさもなく、けさがたからの風は蕭々と一日じゅう吹き続けたまま暮れて行くのであるが、翁には心なしか、左手の垂れ雲の幕の裾が一二尺|掠り除れて行くように思われた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
そのことは始めからしまいまで気にかけていたのだ……ある好奇心なしにではなく……しかもとうとう教えずにしまった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
その手先が、心なしにちょいちょい触ると、僧の手首が自然はたはたと躍上った。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
國境にて 過去の思想や慣習を捨て、新しい生活へ突進する人は、その轉生の旅行に於て、汽車が國境を越える時に、舊き親しかつた舊知の物への、別離の傷心なしに居られない。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
心なしか、わたくしが、父の通夜明けの春の宵に不忍の蓮中庵ではじめて会った雛妓かの子とは、殆ど見違えるほど身体にしなやかな肉の力が盛り上り、年頃近い本然の艶めきが、坐っているだけの物腰にも紛飾を透けて浸潤んでいる。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
二、万ず依怙の心なし。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
四、一生の間欲心なし。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
八、自他ともに恨みかこつ心なし。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫