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繰拡

繰拡
名詞
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標準
文例 · 用例
画家は楽気に凭掛の椅子に掛り、莨を喫み、珈琲を飲み、スケッチの手帳を繰拡げ、見ている。
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 家常茶飯 青空文庫
美人は其の横に、机を控へて、行燈を傍に、背を細く、裳をすらりと、なよやかに薄い絹の掻巻を肩から羽織つて、両袖を下へ忘れた、双の手を包んだ友染で、清らかな頸から頬杖支いて、繰拡げたペイジを凝と読入つたのが、態度で経文を誦するとは思へぬけれども、神々しく、媚めかしく、然も婀娜めいて見えたのである。
泉鏡花 貴婦人 青空文庫
姉の話では、鶴さんの始終抱えて歩いている鞄のなかの文が、時々植源の嫁の前などで、繰拡げられると云うのであった。
徳田秋声 あらくれ 青空文庫
五 美奈子が、小切手帳を持つて来ると、荘田は、傍の小さい卓の上にあつた金蒔絵の硯箱を取寄せて不器用な手付で墨を磨りながら、左の手で小切手帳を繰拡げた。
菊池寛 真珠夫人 青空文庫
それから、ちょっと時計を出して見ながらジッと考えている様子でしたが、屍体検案書の書込みの方は後廻しにする決心をしたらしくソッと横の方へ押遣って、屍体台帳の方を繰拡げますと、その中央に近い処にある「四百十四号……七」と書いた一枚をほかの書込みの行列と一緒に叮嚀に破って、抜取ってしまいました。
夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫
首を伸ばして隣の男の繰拡げてゐる新聞紙を覗いて見た。
初出未詳 茶話 青空文庫
中 だから先生の試験の日が迫つた時には、就中臆病な私は、何んな六ヶ敷い問題が出るだらう――と思ふと、激しく胸が震えて、今更の如くいら/\として、一冊分の半も誌してないノートを繰拡げて厭世的となり、明方になつても眠れなかつた。
牧野信一 文学とは何ぞや 青空文庫
翁は晶子が有島君から託されて持つて来た雑誌「白樺」を公爵夫人と一緒に繰拡げて「おお、此処に」と言ひ乍ら、白樺社へ寄せられた翁の製作の写真を見て有島君の健康を問はれ、又|其社の催した翁の製作|其他の展覧会の模様を問はれた。
與謝野寛、與謝野晶子 巴里より 青空文庫