面映い
おもはゆい
形容詞
標準
embarrassed
文例 · 用例
その傍では飯尾さんが母の幼い頃の思い出話をはじめ、あの頃はおのぶさんも前髪を垂してこんな輪っこに結うていた、と両の親指と人差指でこさえた眼鏡のようなのを頭の上へのせてみせると、「まあ飯尾さんは」と母は面映い仕草で飯尾さんを小突くようにした。
— 矢田津世子 『父』 青空文庫
年齢の違つた交遊が面映いのであらうが、彼女は塀に凭れて身体を隠しながら、小声で二階の窓の私を呼んだ。
— 坂口安吾 『訣れも愉し』 青空文庫
互に、面映い微笑を交はす。
— 日本移動演劇連盟のために 『かへらじと』 青空文庫
私は、いきなりぱっと面映い気持を押えられないで無邪気に舌を出して手をはなした。
— 久坂葉子 『灰色の記憶』 青空文庫
妻がそんなに赤面するのを見るのは夫としてさぞ面映いことでしょう御免なさい。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫
いつそ「私」としてもよいのだが、僕はこの春、「私」といふ主人公の小説を書いたばかりだから二度つづけるのがおもはゆいのである。
— 太宰治 『道化の華』 青空文庫
僕は小さい時から、他の人がみんな熱狂して拍手なんかしている場合、それと一緒に拍手するのが、おもはゆいような気持になるのです。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
今日出来て来た、胸のポケットの名刺にある、農林技官といふ肩書が、富岡には、なにかおもはゆい。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫