底石
そこいし
名詞
標準
文例 · 用例
淀川十里の間あし茅の深き処、浅瀬の船底石に摩る処、深淵の蒼みたるところ、堤に柳ありて直曲なる処、野渡のせばき処、遠き山見るところ、近き村ある処、彼此観望する間、未後大坂城を前に望て、遂に過所町の河岸に著く。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
層雲峡に至りては、澄みて底石数うべし。
— 大町桂月 『層雲峡より大雪山へ』 青空文庫
ロシアの近代には、人類精神史の底石をなすようにベリンスキー、ニェクラーソフ、ドブロリューボフらの文学者があった。
— 宮本百合子 『政治と作家の現実』 青空文庫
」 口ぐちに叫びあいつつ、残士二十四の月輪の援隊、冷ッとする水に袴のもも立ちとった脚の半ばまで埋めて、たがいに手を藉し肩を預けながら、底石を踏んでちょうど川中へ来かかった時だった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
この民衆の強みはСССРの底石だ。
— 宮本百合子 『一九二九年一月――二月』 青空文庫
車窓に蘆の葉がなびき、底石の青苔や、御遊泳中の魚族の鱗のいろも手にとるように見える。
— アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻 『ノンシャラン道中記』 青空文庫
底石が、黒く地肌を出す程なめ尽す。
— 佐藤垢石 『水垢を凝視す』 青空文庫
そして、渓流魚釣りは世間で言うほどむずかしいものではない、と語るが渓流魚釣りの真髄を味わい得るのは、山女魚の活動が敏捷になった初夏の候、谷の流れが澄明、底石の姿がはっきりとなる、朝と夕べのまずめであろう。
— 佐藤垢石 『雪代山女魚』 青空文庫