持ち番
もちばん
名詞
標準
文例 · 用例
お針には、近所の娘や、家持ち番頭の女房などが通ってきていた。
— 林不忘 『巷説享保図絵』 青空文庫
金が入って来ると、十人近い女は自分の持ち番の客の有る無しに係らず、ドッと喚いて一斉に彼に飛びついてゆくという騒ぎである。
— 海野十三 『ゴールデン・バット事件』 青空文庫
そのわきのたまとあるのは、その持ち番の女中の名である。
— 木村荘八 『両国界隈』 青空文庫
乙女の持番の客が来る。
— 宮本百合子 『小祝の一家』 青空文庫
偶然このカッフェーで邂逅しても、互に黙契する処があるらしく秘密を守り合っているくらいなので、何を言ってもまた言われても互に気を悪くするはずはないと、平気な顔で、折からテーブルを叩くらしい音がするのを聞きつけ、自分が持番の客ではないかと、音する方へ目を注ぐ。
— 永井荷風 『つゆのあとさき』 青空文庫
」と春代が行きかけた時、持番の定子というのが、黒ビールと南京豆の小皿を持って来て、酌をしながら、「わたし、先生の小説には思出の深い事があるのよ。
— 永井荷風 『つゆのあとさき』 青空文庫
」 その時持番の女給が来たので、君江は取りとめのない冗談を言いながら立って行った。
— 永井荷風 『つゆのあとさき』 青空文庫
そのころの金持番付では三井の一枚上にいて、西の鴻之池と張出横綱になっているほどな三谷総本家の一族で、斧四郎の通人ぶりは、辰巳も北廓も、風靡していた。
— 吉川英治 『松のや露八』 青空文庫