躍り入る
おどりいる
動詞
標準
文例 · 用例
一朝館の召があらば、火にも水にも躍り入るべきは、其落著いた眞底の覺悟で鋼の樣に固い。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
鋼鉄のにほひに噎び、絶えずまた直裸なる男の子真白に光り、ひとならび、力あふるる面して柵の上より躍り入る、水の飛沫や、白金に濡れてかがやく。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
ぼんやり致してふるえおるその者共、早う眠らせい」 自らもさッと躍り入ると、パタパタと三人を峰打ち。
— 幽霊を買った退屈男 『旗本退屈男 第十話』 青空文庫
やがて朱塗の団扇の柄にて、乱れかかる頬の黒髪をうるさしとばかり払えば、柄の先につけたる紫のふさが波を打って、緑り濃き香油の薫りの中に躍り入る。
— 夏目漱石 『一夜』 青空文庫
塁や塹壕に躍り入る際に、木材を鋭く削って居るのに落ちて傷つく者も多かった。
— 菊池寛 『田原坂合戦』 青空文庫
風に対しては戸を造り、雨に対しては屋根を葺き、雷に対しては避雷柱を造る、斯くして人間は出来得る丈は物質的の権を以て自然の力に当るべしと雖、かくするは限ある権をもて限なき力を撃つの業にして、到底限ある権を投げやりて、自然といふものゝ懐裡に躍り入るの妙なるには如かざるなり。
— 北村透谷 『人生に相渉るとは何の謂ぞ』 青空文庫
一蹴りきつく地面を蹴って、海に躍り入るように仕事の内に飛び込み、頭から足からもまれ洗われ、すっきり更新した自分になりたい慾望が、かえって伸子の内に激しく募った。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
しかく宣んして槍のべて胸を貫き車上より、パイサンドロス突き落し、地上に仰ぎ倒れしむ、つゞいて劔ふりあげてヒッポロコスの手向ふを 145打ちて兩腕切り落し、首打ち落し地の上に斃しさながら臼の如、戰場中にまろばしめ、更に進みて軍勢の最も多き諸部隊の亂るゝ場に躍り入る、同じくアカイア衆兵も。
— ILIAS 『イーリアス』 青空文庫