町々
まちまち
名詞
標準
文例 · 用例
あのビルヂングの林立する新宿の町々に、かうした多くの人物が生棲してゐることを考へ、都會の隅々に吹きめぐる秋風の蕭條といふ響を聞いた。
— 萩原朔太郎 『悲しい新宿』 青空文庫
寢不足な私の頭は妙にぼんやりして、はつきり物を考へる力を失つたやうに、窓から見える町々の印象を取入れた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
誠に汝らに告ぐ、なんじらイスラエルの町々を巡り尽さぬうちに人の子は来るべし。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
おなじ仕組の同じ獅子の、唯一つには留まらで、主立つたる町々より一つづつ、すべて十五、六頭|※り出だし候が、群集のなかを処々横断し、点綴して、白き地に牡丹の花、人を蔽ひて見え候。
— 泉鏡花 『凱旋祭』 青空文庫
下町、山の手、昼夜の火沙汰で、時の鐘ほどジャンジャンと打つける、そこもかしこも、放火だ放火だ、と取り騒いで、夜廻りの拍子木が、枕に響く町々に、寝心のさて安からざりし年とかや。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫
市の町々から、やがて、木蓮が散るように、幾人となく女が舞込む。
— 泉鏡花 『茸の舞姫』 青空文庫
然ればその頃は、町々、辻々を、彼方からも、いなだ一|枚、此方からも、いなだ一|枚。
— 泉鏡花 『寸情風土記』 青空文庫
ペエトル一世が、王女アンの結婚を祝う意味で、全国の町々に、このような小さい公園を下賜せられた。
— 太宰治 『女の決闘』 青空文庫