色取り
いろどり
名詞
標準
文例 · 用例
御膳が出て御馳走が色々並んでも綺麗な色取りを第一にしたお正月料理は結局見るだけのものである。
— 寺田寅彦 『新年雑俎』 青空文庫
折詰の飯に添えた副食物が、色々ごたごたと色取りを取り合せ、動物質植物質、脂肪蛋白|澱粉、甘酸辛鹹、という風にプログラム的に編成されているが、どれもこれもちょっぴりで、しかもどれを食ってもまずくて、からだのたしになりそうなものは一つもない。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
加茂川は、やや水嵩増して、ささ濁りの流勢は河原の上を八千岐に分れ下へ落ちて行く、蛇籠に阻まれる花|芥の渚の緑の色取りは昔に変りはないけれども、魚は少くなったかして、漁る子供の姿も見えない。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
雨戸の閉つてゐる六畳の前の、色取り/\の草花に目がさめるやうな気がする。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
さつきテイブルかけを取り換へて、洗濯したばかりの、とき色の筋の這入つた気持のよい布をかけて、片はしへ、鏡の前に据ゑてあつた、西洋|葵のぱつとした赤い花の壺を飾つて置いたので、テイブルの上の色取りだけは綺麗であつた。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
それを押箱があれば上等ですがなければお櫃の蓋へでも先ず一面に酢を振って今の物を移して厚さ一寸位に固く手で押付けてその上へ酢漬の刺身と外に玉子焼の短冊に厚く切ったものと色取りに紅生姜を混ぜて御飯の見えないように並べます。
— 秋の巻 『食道楽』 青空文庫
形ばかりの竹垣で仕切られた各々二十坪ほどの庭――霜枯れ時の寂寥さを想はせる花壇に、春の終りゆえ、色取り/″\の草花が咲き乱れてゐる。
— 岸田國士 『隣の花』 青空文庫