蘊藉
うんしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
段々進んで行くと、これで最後かと思われる手広い部屋があって、壁に「蘊藉詩情水雪椀、高間画本水雲郷」と書いた聯が二つ懸かっている。
— 長崎ものがたり 『平賀源内捕物帳』 青空文庫
私は実は中村彝君の絵を見ていなかったので、親しみが薄く、橋本君の温藉な画風を愛していたので、結局橋本君をわずらわすことになった。
— ――田山花袋氏―― 『紀行文家の群れ』 青空文庫
陶淵明の如き温藉の人でも、「裸葬また何ぞ惡からん」と云つて居る位だから、墨子及び其徒にして薄葬を好み、又久喪を非とするならば其の所望に任せて宜しいが、之を人に強ひんとするに至つては餘り感心も出來ぬ。
— 幸田露伴 『墨子』 青空文庫
隣家の娘というはお勢よりは二ツ三ツ年層で、優しく温藉で、父親が儒者のなれの果だけ有ッて、小供ながらも学問が好こそ物の上手で出来る。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
坐舗へ這入りざまに文三と顔を見合わして莞然、チョイと会釈をして摺足でズーと火鉢の側まで参り、温藉に坐に着く。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
眉毛の長い七十の翁の温藉なあの表情はそれまでの長い間の藝術的生活が刻んだものだと思ふ毎に一種のサンチマンタアルな情操の動くのを感ずるのであつた。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
茶山がいかに温藉の人であつたとしても、自ら屈して其旅舎に候ふべきではあるまい。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
ユウゴオの趣味は典雅ならず、性情奔放にして狂※激浪の如くなれど、温藉静冽の気|自からその詩を貫きたり。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫