洒張
洒張
名詞
標準
文例 · 用例
今となつてみると、新雪の輝やく富士山がよく見えぬからと言つて、出洒張つた杉木立の梢を恨んだのは、勿体ない気がする。
— 小島烏水 『亡びゆく森』 青空文庫
此の景勝愉樂の郷にして、内湯のないのを遺憾とす、と云ふ、贅澤なのもあるけれども、何、青天井、いや、滴る青葉の雫の中なる廊下續きだと思へば、渡つて通る橋にも、川にも、細々とからくりがなく洒張りして一層好い。
— 泉鏡花 『城崎を憶ふ』 青空文庫
若党の分際で、いらざる事に出洒張るな。
— 吉川英治 『夕顔の門』 青空文庫
それを環ごとき若輩者が、要らざる出洒張りをしたればこそ、恥の上わ塗りをしでかしたのだ』『なんで、そのように、環を、憎く憎くと取りなさるのじゃ』『腹の立つのは、直胤の一門より、てまえに取っては、むしろ出洒張り者の弟です。
— 吉川英治 『山浦清麿』 青空文庫
出洒張って』 お寿々は、お次を突き飛ばして、小走りに駈け込んで行った。
— 吉川英治 『山浦清麿』 青空文庫
うちの父ッさんに叱られたよ、子供のくせに、大人の世界のことに出洒張るな、ヘタするとお白洲へ曳かれるぞッて」「そんなことはあるもんか。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
そして気遣わしげに、「戸板で急いだほうが、はるかに、お楽であったろうに、小次郎めが、出洒張って、いらざる真似を」 と、彼の無責任な仕方を、ことばのうちに皆、憤っていた。
— 風の巻 『宮本武蔵』 青空文庫
あのやさしい気持の妙秀尼が着せてくれた小洒張した衣裳よりも、この扇屋で借着している伊達な袷よりも、雨露に汚れた一着の木綿着物のほうが、彼には、自分の肌にぴったりした物のように思われた。
— 風の巻 『宮本武蔵』 青空文庫