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渡し舟

わたしぶね
名詞
1
標準
文例 · 用例
宗吾郎は、笠で自分の顔を覆うて、渡し舟に乗る。
太宰治 青空文庫
三味線の二階の下の店からは(そこは渡し舟の賃を取る所だつた。
木下杢太郎 市街を散歩する人の心持 青空文庫
少時らくして年老いた男が客を一人載せて渡し舟を突いて居た。
木下杢太郎 市街を散歩する人の心持 青空文庫
渡し守は、彼が渡し舟に乗るのを辞らうとした。
新美南吉 良寛物語 手毬と鉢の子 青空文庫
いや、矢口と云えば、あの神霊矢口渡という芝居にあるようなことは勿論嘘でしょうが、矢口渡の船頭が足利方にたのまれて、渡し舟の底をくり抜いて、新田義興の主従を川へ沈めたというのは本当なんでしょうね」「そりゃあ本当でしょう。
新カチカチ山 半七捕物帳 青空文庫
渡し舟に乗つて水族館を見物に赴くと、千種万別の魚介も、水槽の水に、尨大極まりもない大海原の夢を掬つて、生々と蘇みがえつてゐる。
牧野信一 浪曼的月評 青空文庫
島への渡し舟は、片道二銭で、夜は十時限りである。
牧野信一 城ヶ島の春 青空文庫
」 そんな事をはなしてゐるうちに、間もなく渡し舟は三崎の岸に着きさうになつたので、わたしは急に思ひだして、ふところをさぐつたのであつたが、ふところのものは煙草も手帳も双眼鏡も、その他のものもみんな紛失してゐて、鴎が眠つてゐるだけだつた。
牧野信一 城ヶ島の春 青空文庫