掛け橋
かけはし
名詞
標準
文例 · 用例
名人は微笑しいしい、先にたってその情けの掛け橋とも思われる青草原の丘へ上っていくと、木立ちの影に身を潜めながら、じっと下の僧院内に目をそそぎました。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
その音を越えた向う岸には、美しい女が熱もなく光りもなく立つてゐるが、そこへ渡る掛け橋が絶えてゐる。
— 斷橋 『泡鳴五部作』 青空文庫
そうして生理と心理の間のかけ橋がまさにこの問題につながっていそうに思われてならない。
— 寺田寅彦 『笑い』 青空文庫
木曾の橋をば西行法師の春花の盛に通り給ひて、生ひすがふ谷のこずゑをくもでにて 散らぬ花ふむ木曾のかけ橋また源の頼光、中納言維仲卿の御息女を恋ひさせ給ひて、恋染し木曾路の橋も年経なば 中もや絶えて落ぞしぬめり 此のほか色々の歌も侍るよし承り候と言ふ。
— 泉鏡太郎 『怪力』 青空文庫
ところで、ここにかかつてゐる羅曼的な釣り橋はその附近の山々の盛んな紅葉の光りに照りはえて、矢張り朱や青に色取られたかけ橋である。
— 斷橋 『泡鳴五部作』 青空文庫
それが今度の震災と共に、東京の人と悲しい別離をつげて、かけ橋はまったく断えてしまったらしい。
— 岡本綺堂 『島原の夢』 青空文庫
実際、個性というようなものが、明治の中期から日本に這入って来て、だんだん人間が機械になって来たので、夢のかけ橋かすみに千鳥なんて、そういう風なものをみんな消してしまった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
今日は結納の品定めに行くんだけれども、僕とあなたも、その放れた二つのものを一つに結びつけて行くようにしたいものだが、――夢のかけ橋だ。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫