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薄絹

うすぎぬ異読 うすごろも
名詞多音語
1
標準
thin or light silk
文例 · 用例
いかめしい城郭のようなライブラリーも柔らかで憂鬱な霧の薄絹に包まれている。
寺田寅彦 病院風景 青空文庫
今朝は気がつかなかったが、道の西手に一段低い畑には、蕎麦の花が薄絹を曳き渡したように白く見える。
伊藤左千夫 野菊の墓 青空文庫
母が心の何方に走れりとも知らで、乳に倦きれば乳房に顔を寄せたるまゝ思ふ事なく寐入し児の、頬は薄絹の紅さしたるやうにて、何事を語らんとや、折々曲ぐる口元の愛らしさ、肥えたる腮の二重なるなど、かかる人さへある身にて、我れは二タ心を持ちて済むべきや。
樋口一葉 軒もる月 青空文庫
保護色のような薄絹の手袋。
吉行エイスケ 新種族ノラ 青空文庫
あるひどい雨の日の昼ごろにたずねて来たときは薄絹にゴムを塗った蝉の羽根のような雨外套を着ていたが、蒸し暑いと見えて広くはげ上がった額から玉のような汗の流れるのをハンケチで押しぬぐい押しぬぐい話をした。
寺田寅彦 B教授の死 青空文庫
ぴたりとついて留まったが、飜然と此方へ向をかえると、渚に据った丘の根と、海なるその岩との間、離座敷の二三間、中に泉水を湛えた状に、路一条、東雲のあけて行く、蒼空の透くごとく、薄絹の雲左右に分れて、巌の面に靡く中を、船はただ動くともなく、白帆をのせた海が近づき、やがて横ざまに軽くまた渚に止った。
泉鏡花 悪獣篇 青空文庫
――肩、両眼、腰、足の先と、膚なりに、土耳古人が狙って縫打に打つんだが、弾丸の煙が、颯、颯と、薄絹を掛けて、肉線を絡うごとに、うつくしい顔は、ただ彫像のようでありながら、乳に手首に脈を打つ。
――(前題――楊弓) ピストルの使い方 青空文庫
……艶なる女優の心を得た池の面は、萌黄の薄絹のごとく波を伸べつつ拭って、清めるばかりに見えたのに、取って黒髪に挿そうとすると、ちっと離したくらいでは、耳の辺へも寄せられぬ。
泉鏡花 伯爵の釵 青空文庫
作例 · 標準
例句
2
標準
veil (mystery)
作例 · 標準
例句