目分
めぶん
名詞
標準
文例 · 用例
何処の生れだか、育ちなのか、誰の娘だか、妹だか、皆目分らんでございます。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
一郎は、どこで、どう失われたか、皆目分らなかった。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
何が、どうなってしまったか、皆目分らなかった。
— 黒島傳治 『土鼠と落盤』 青空文庫
」 この可憐なのと、窈窕たると、二人を左右に従えて、血ぬった出刃の尖を垂直に落して、切身の目分量をした姉御は、腕まくりさえしないのに、当時の素裸の若い女を現実した。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
「それではモルヒネ……お前目分量で飲ましてくれるか。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
それも、五尺や八尺の近くならば、なにも改まって驚くにはあたらないことでしたが、目分量でもじゅうぶんに六、七間の距離があったものでしたから、右門の口辺にはじめて会心そうな微笑がのぼりました。
— 曲芸三人娘 『右門捕物帖』 青空文庫
余は夏蜜柑を食ひながら、目分量で一間幅の道路を中央から等分して、其の等分した線の上を、綱渡りをする氣分で、不偏不黨に練つて行つた。
— 夏目漱石 『京に着ける夕』 青空文庫
言い換えると自分の商売がしだいに専門的に傾いてくる上に、生存競争のために、人一倍の仕事で済んだものが二倍三倍|乃至四倍とだんだん速力を早めておいつかなければならないから、その方だけに時間と根気を費しがちであると同時に、お隣りの事や一軒おいたお隣りの事が皆目分らなくなってしまうのであります。
— 夏目漱石 『道楽と職業』 青空文庫