眛
眛
名詞
標準
文例 · 用例
といって極度の不安状態にも陥らず、何だか悟ったような悟らないような、若いのか年寄りなのか解らぬような曖眛な表情でキョロキョロ青春時代を送って来たんですよ。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
これはね、曖眛な思想や信ずるに足りない体系に代るものとして、これだけは信ずるに足る具体性だと思ってやってるんですよ。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
渠の考で云へば、犬の樣な所業をする人は既に犬と化して居るので、幽靈の樣な瞹眛な言葉を吐くものは既に幽靈となつて居るのだ。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫
然し、かうなつて來ると、神秘な數が非常に勢力が出て來るから、この點だけは音樂に近づくので、科白劇にしても必らず律語を用ゐなければならなくなる、否、人間の使ふ言語中に潜んで居る瞹眛粗雜な音律が、自我の覺醒に連れて、自然と發揮して來るのが事實である。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫
あれでも知った人には滅多に逢わないだろうね」「そうですね」と瞹眛に受ける。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
瞹眛な約束をやめてくれと云うのもさほど不義理とは受取れない。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
凡そ人生|箇々の裏面には必ず如此き内情|若くは秘密とも謂ふべき者ありながら、幸に他の穿鑿を免れて、瞹眛の裏に葬られ畢んぬる例尠からず。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
結構だ」 岡田は「ええまあお蔭さまで」と云ったような瞹眛な挨拶をしたが、その挨拶のうちには一種|嬉しそうな調子もあった。
— 夏目漱石 『行人』 青空文庫