真っ逆様
まっさかさま
形容動詞
標準
文例 · 用例
ふたりでよろめきながら、崖上のYさんの家を出てゆくのに、彼女は足をすべらせ、真っ逆様に、前の溝に落ちてしまった。
— 田中英光 『野狐』 青空文庫
もし一足でも踏みはずしたら、谷底まで真っ逆様だと胸の凍るような不安もあったが、その不安よりもムヤミに子供を鍛えたい気持のほうが強く、「こらッ一郎ッ、しっかり登れよッ。
— 田中英光 『箱根の山』 青空文庫
山国谷第一の切所で、南北往来の人馬が、ことごとく難儀するところじゃが、この男はこの川上柿坂郷に住んでいる馬子じゃが、今朝鎖渡しの中途で、馬が狂うたため、五丈に近いところを真っ逆様に落ちて、見られる通りの無残な最期じゃ」と、その中の一人がいった。
— 菊池寛 『恩讐の彼方に』 青空文庫
最初から頑強に反対していた船夫の、三十五、六の肥り肉の奴が、そう悲鳴して顔を抑えましたが、体を海老のように曲げたかと思うと、船縁を越して水の中へ真っ逆様に落ち込みました。
— 国枝史郎 『犬神娘』 青空文庫
それとも知らず私の足は次の桟木を踏もうとしてハッと空間に足を辷らせ真っ逆様に墜落した。
— 国枝史郎 『沙漠の古都』 青空文庫
発止と受けは受けたものの、ズルズルと後へ退った刹那、足踏み外して真っ逆様、幾丈と高い断崖から、氷張り詰めた千曲川へ、「無念!
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
右門は千曲川の絶壁から真っ逆様に川の中へ切り込まれたのでございます」山吹の声は次第次第に悲しみの涙に閉ざされて、そのままプッツリ云い淀んだ。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
久しく錬磨を怠ったれど、桶皮胴の二枚|肋、三つ重ねを一町先から裏掻しまでに射通すことさして困難とも覚え申さぬ、論より証拠、いざ、ご覧あれや」 声もろともに射出す征矢に先に進んだ騎馬武者一騎、真っ逆様に馬より墜ち、次に進んだ騎馬武者は馬もろともに倒された。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫