葛折り
つづらおり
名詞
標準
文例 · 用例
むかし、あのひどいつづら折りなす山の路をぬけて往来した旅人こそ、あの山の驚異、すさまじさ、自然に対する恐れに打たれたのではないか。
— 一九二二年(大正十一年) 『日記』 青空文庫
陽は山に遮られて、山は木が真っ暗に繁って、その下をつづら折りに登って行くのですから、涼風は面を打って、暑いことは少しもありません。
— 橘外男 『墓が呼んでいる』 青空文庫
疲れ切った足を引き摺って、ぼんやりと私は、そのつづら折りの山道を登っていましたが、登り詰めると、今度は山の背を大分行ったところで……こんもり繁った大きな木の下あたりで、もう一つ、右手の山をめぐる小径に分れているらしい様子です。
— 橘外男 『墓が呼んでいる』 青空文庫
小暗い繁みも抜けて、つづら折りの第一の山道にさしかかります。
— 橘外男 『墓が呼んでいる』 青空文庫
……道はつづら折りになって、片側に森、右側に谷を見ながら、近江のくにへはいった、ちょうどくに境を越したあたりの山蔭になった処で、とつぜん二人のゆくてへ四五人の男が現われて立ち塞がった。
— 山本周五郎 『山だち問答』 青空文庫
小仏越えの本道、星影のつづら折りを辿る程に、まもなく前の千魂塚の堂の前へ出る。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫
輙ち橋を渡りて僅に行けば、日光|冥く、山厚く畳み、嵐気冷に壑深く陥りて、幾廻せる葛折の、後には密樹に声々の鳥呼び、前には幽草歩々の花を発き、いよいよ躋れば、遙に木隠の音のみ聞えし流の水上は浅く露れて、驚破や、ここに空山の雷白光を放ちて頽れ落ちたるかと凄じかり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫