心づくし
こころづくし異読 こころずくし
名詞多音語
標準
kindness
文例 · 用例
……義兄さんがお心づくしの丸薬ですわね。
— 泉鏡太郎 『続銀鼎』 青空文庫
」 南方で日本語を教えるには標準語が話せなくてはならない、しかし自分は三年間東京にいたからその点は大丈夫だと、道子はわざわざ東京の学校へ入れてくれた姉の心づくしが今更のように思い出された。
— 織田作之助 『旅への誘い』 青空文庫
……心づくしのかず/\の御馳走になる。
— 大田から下関 『行乞記』 青空文庫
尻からげ一杯、この一杯にも澄太さんの心づくしがある、おべんたう、こゝにも奥さんの心づくしがある。
— 広島・尾道 『行乞記』 青空文庫
病院で入雲洞君に逢ふ、退けるまで待つて、また戸畑へ、入雲洞居へ、あつい風呂はうれしかつた、酒も肴もおいしかつた、奥さんはお留守で、すべてが主人みづからの心づくしだ。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
彼は村の娘ヘテイに対する心づくしを考えた時、ひょっとしてあの肖像画に、新しい変化が生じていないものでもないと思った。
— The Portrate of Dorian Gray 『絵姿』 青空文庫
病人は、海にむかって硝子戸を立てめぐらした座敷で、熱臭い蒲団に落ち込んだ胸をくるんで、潮風の湿気のために白く錆びついた天井を見つめた儘、空咳をせきながら、幸子の心づくしに堪能していたが、それでも覚束ない程感動し易くなっていたので、時々幸子を手古摺らせた。
— 渡辺温 『勝敗』 青空文庫
当日の朝になると、まだ暗いうちに一帳羅のフロックコートを着て、金鎖を胸高にかけて、玄関口に寄せかけた新調の自転車をながめながら、ニコニコ然と朝飯の膳に坐ったが、奥さんの心づくしの鯛の潮煮を美味そうに突ついているうちに、フト、二三度眼を白黒さした。
— 夢野久作 『いなか、の、じけん』 青空文庫