御機嫌
ごきげん
名詞
標準
文例 · 用例
書かせ給ふは何ならん、何事かの御打合せを御朋友の許へか、さらずば御母上に御機嫌うかゞひの御状か、さらずば御胸にうかぶ妄想のすて所、詩か歌か。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
己らは痘痕と濕つかきは大嫌ひと力を入れるに、主人の女は吹出して、夫れでも正さん宜く私が店へ來て下さるの、伯母さんの痘痕は見えぬかえと笑ふに、夫れでもお前は年寄りだもの、己らの言ふのは嫁さんの事さ、年寄りは何でも宜いとあるに、夫れは大失敗だねと筆やの女房おもしろづくに御機嫌を取りぬ。
— 樋口一葉 『たけくらべ』 青空文庫
何事にも几帳面で、怒らない時には柔順な敏夫は、私の父の塑像の前に行つて、「おぢいちやま御機嫌よう、おばあちやま御機嫌よう、ママ御機嫌よう」 一々頭を下げて誰にともなく云つてから、私の所に來て、「パパ御機嫌よう」と挨拶した。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
時間が過ぎたので睡たさに眼も開かなくなつた五歳の登三は、「パパ御機嫌よう」と崩れさうな聲で云つて、乳母の首ツ玉にしつかりかじり付いて抱かれながら私から離れて行つた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
※空に昇つて、光つて、消えて――やあ、今日は、御機嫌いかが。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
今日社長の宅へ行つたといふのはつまり御機嫌伺ひ方々その真否の偵察に出掛けたのであつた。
— ――飜弄さる 『蜻蛉』 青空文庫
さようなら、御機嫌よう。
— 葉山嘉樹 『浚渫船』 青空文庫
きょうの事務所からの放送を、場長さんもお聞きになって、いい御機嫌やった。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫