秘命
ひめい
名詞
標準
文例 · 用例
輪之丞以下は氏郷出発以前から秘命を受けて、妄談者流の口吻に従えばそれこそ鼠になって孔から潜り込んだり、蛇になって樹登りをしたりして、或者は政宗の営を窺い或者は一揆方の様子を探り、必死の大活躍をしたろうことは推察に余り有ることである。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
この風のごとき浪士丹下左膳、じつは、江戸の東北七十六里、奥州中村六万石、相馬大膳亮殿の家臣が、主君の秘命をおびて府内へ潜入している仮りの相であった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
それに絡わるおのが秘命。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
得印兼光のほうから口をひらいて、はじめてここに、われとおのれに誓った秘命のすべてを語り出そうとしている。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
余人なら知らぬこと、月輪にあっても荒殺剣の第一人者として先代月輪軍之助に邪道視され、それがかえって国主大膳亮のめがねにかない、一徒士の身をもって直接秘命を帯び、こうして江戸に出て来たのち、幾多の修羅場をはじめ逆袈裟がけの辻斬りによって、からだがなまぐさくなるほど人血を浴びて来た左膳のことだ。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
「殿の秘命をはたし得て、御同様、祝着至極……」「この問題も、これにて解決。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
しかし、伊那丸や、忍剣や民部などの七将星のほかに、果心居士の秘命をうけている竹童は、そもそもこの大事なときを、どこでなにをまごまごしているのだろう。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
――見るとそれは秘命をおびて、伊那丸の本陣|雨ヶ|岳をでた奔馬「項羽」。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫