楽友
らくゆう
名詞
標準
文例 · 用例
初夏の或晩、楽友館の広間に、皓々と電燈がかがやいて、多くの人々が集った。
— 西田幾多郎 『或教授の退職の辞』 青空文庫
娘は申すまでもなく、本所の相生町の老女の邸のお松であって、この男を知っているのは、ずっと以前、神尾主膳の伝馬町の屋敷に仕えていた時分のことで、その時分から、この福村は神尾の屋敷へ出入りしていた道楽友達であります。
— 無明の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
吉田町楽友会館に於ける京大三高俳句会に臨む。
— 高浜虚子 『五百句』 青空文庫
その中に、合名会社の若い社員潮田春樹と、その妹で、令嬢奈々子の音楽友達、美保子という世にも優れた麗人を加えたことと、東京ポストの社会部次長で、若い腕利きの新聞記者、千種十次郎を交えたのが、まことに異色ある取り合せでした。
— 野村胡堂 『笑う悪魔』 青空文庫
しかしその楽友協会における初演は決して成功とは言い難く、この曲を成功に導いたのは、それから二年後、ブラームス自身がブレーメンの寺院において指揮した時からで、今ではドイツ国民の胸に、最も敬虔な曲として深く深く印象付けられている。
— 野村胡堂 『楽聖物語』 青空文庫
一八七三年には、楽友協会に紛糾がありブラームスは三千マルクの年俸と共にその指揮者の地位を捨てたが、幸いブラームスの音楽はその頃からようやく理解されるようになり、作曲の印税で生活を支えることが出来るようになっていた。
— 野村胡堂 『楽聖物語』 青空文庫
一八九七年一月楽友協会の演奏会で桟敷のブラームスは立って自作への喝采に応えたが、かつて碧く清かりし眼は曇り、血色の美しかった頬は蒼ざめて、死の色が濃くこの大作曲家の立派な顔を侵すのを見て、聴衆は熱心にハンケチを振りながら涙を呑んだ。
— 野村胡堂 『楽聖物語』 青空文庫