負い被さる
おいかぶさる
動詞
標準
文例 · 用例
たとえば池のみぎわから水面におおいかぶさるように茂った見知らぬ木のあることは知っていたが、それに去年は見なかった珍しい十字形の白い花が咲いている。
— 寺田寅彦 『あひると猿』 青空文庫
―― 無言の三人のうえに、城中の夜の静寂が、重い石のようにおおいかぶさる。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
」 そっと上って来たお君さんの大きいひさし髪が、月の光りで、くらく私の上におおいかぶさる。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
」 そっと上って来たお君さんの大きいひさし髪が、月の光りで、黒々と私の上におおいかぶさると、今朝から何も食べない私の鼻穴に、プンと海苔の香をたゞよわせて、お君さんは枕元にそっと寿司皿を置いた。
— 林芙美子 『放浪記(初出)』 青空文庫
いってはいやです」 東助とヒトミは大声をあげたが、そのときにはすでに樽ロケットの室内の光景もポーデル博士もかきけすようになくなっていて、二人はおおいかぶさる緑の雑草の原の中にとりのこされていた。
— 海野十三 『ふしぎ国探検』 青空文庫
瀟洒な鉄門の左右からおおいかぶさるように青葉が繁っていて、高い夏草の間に小砂利道がひと筋とおっている。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
ボナールは講壇へ駆けあがると、羽搏きをするようにパッと両腕をひろげ、おいかぶさるようにがっちりとデュアメルの肩を抱いて、右手で二三度背中を軽叩した。
— 久生十蘭 『だいこん』 青空文庫
その絶壁の縁には、木々がおおいかぶさるように枝をさしのべているので、青空と明るく輝く夕やけ雲とがちらっと見えるだけだった。
— ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿 『リップ・ヴァン・ウィンクル』 青空文庫