懸値
懸値
名詞
標準
文例 · 用例
……と言ふ隙に、何の、清水谷まで行けばだけれど、要するに不精なので、家に居ながら聞きたいのが懸値のない處である。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
元来彼が卒業後相当の地位を求めるために、腐心し運動し奔走し、今もなおしつつあるのは、当人の公言するごとく佯りなき事実ではあるが、いまだに成効の曙光を拝まないと云って、さも苦しそうな声を出して見せるうちには、少なくとも五割方の懸値が籠っていた。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
アはベーツ説に四十フィートに達するそうだが、ピゾン・レチクラツスは三十フィートまで長ずというから『本草』の懸値は恕すべしで、実に東半球最大の蛇だ。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
けだしこの山神は専ら森林を司り、その祭日には自分の顔色と名に因んで、赤木に猿たに猿滑りと、一種の木を三様に懸値して国勢調査すと伝えたのだ。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
そして腹のなかでは、もしかそれに少しでも懸値があつたにしても、そんな事は後から直ぐ弁償出来るとでも思つてるらしかつた。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
実をいふと、石屋の主人は値切られる積りで、幾らか懸値を言つたらしかつたが、画家はそんな事に頓着しなかつた。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
うん、なんたる低劣な……」「ほほほほ、なんですよ今ごろ、これが三社前の姐さん、当り矢のお艶の懸値のないところ。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
先刻の宣言とは大分懸値があるじゃアないか!
— 国枝史郎 『赤げっと 支那あちこち』 青空文庫